ル・パレデテのフレーバーティー
時にいわれのない偏見をもたれるフレーバーティーですが、お茶の歴史の中で重要な位置を占めています。古くからの伝統から生まれ、果実や、また技術の発展によって、フレーバーティーは私たちが古来から受け継いだ豊かな遺産といえます。
古来の伝統
お茶に香り付けをすることは古来から引き継がれました 。中国に於けるお茶の歴史のなかでは、お茶はもともと単独で飲まれていたものではなく、食物に用いられる食材のひとつに過ぎなかったのです。唐末までは、お茶は雑穀などとともに煮込んで食するものでした。また、バターやミルクに合わせたものもあり、現在もチベットには常飲されているバター茶があります。
宋時代になってから、摘んで間もない花びらや花のめしべなどを用い、お茶に香りをつける処方が現れました。バラ、モクレン、菊、ロータス、もちろんジャスミンなどがポピュラーです。
お茶の特性として、良くも悪しくも他の香りを吸収するセンサーのような性質があります。このことは、お茶に他の香りを移すことを容易にしますが、反面お茶を保管する場合、細心の注意をはらわなければなりません。保存状態が適切ではない場合、望まない香りが移ってしまい、お茶そのものを台無しにすることになります。
その後、お茶にスパイスやドライフルーツ、香草などを加えるという処方が現れます。香りによって、それらをお茶の葉に一時的に加えるか、完全にブレンドしてしまうかに分かれます。
たとえばジャスミン茶ですが、香りはお茶の葉にジャスミンの花を敷き詰めることによって得られますが、ジャスミンの花のもつ苦みを避けるため、香りを移した後、花はお茶から取り除かれます。上質のジャスミン茶は殆ど花びらを含んでいません。ジャスミン茶の品質はこの一連の香り付けだけにとどまらず、ベースの茶葉の質や入念な作業によって左右されます。ジャスミン茶に用いられる緑茶は4月に摘採、製茶の後、ジャスミンの収穫の8月までストックされます。
良質のジャスミンの花の摘み取りは午後に行われます。つぼみの状態から、次第に花が開き始める夕暮れ時です。そして、摘まれたジャスミンの花は完全に花が開くまで数時間休ませます。ついで、茶葉を薄く広く敷き詰め、それからその上にジャスミンの花を重ねて敷き詰め、この作業を繰り返し、4-5層にします。一夜明け、およそ10時間後、手作業で、茶葉と花を選り分けます。
非常に質の高いジャスミン茶の場合、この一連の作業を7回繰り返します。もちろんその都度ジャスミンの花は新しい新鮮な花に取り替えられます。
19世紀に生まれた4つのミステリアスなお茶
中国にはもうひとつの高名な異なったタイプのフレーバーティーがあります:ラプサンスーチョン(スモークティー)です。このお茶の由来は歴史上では事故的な誕生として語られます。1820年頃、中国福建省で、ある農家が軍の駐屯地として家屋敷を徴用されました。農園主はそのため、まだ湿った茶葉を置いてあるお茶の乾燥室を軍に開放せざるをえませんでした。茶葉を失わないため、農園主はエピセア(トウヒ)の根の暖炉の上に茶葉を移しました。暖炉の熱によって、茶葉もちろん乾燥を終えましたが、その茶葉には独特の燻した香りがしみ込みました。このお茶の評判はその地方の消費者にはかんばしくありませんでしたが、偶然、立ち寄った外国の商人の味蕾を魅了しました。彼はこのスモークティーのロットをヨーロッパへ持ち帰り、大きな成功を得ました。以来、中国紅茶はヨーロッパに於いて、ベストナンバーであり続けています。
もうひとつのミステリアスなフレーバーティーは同時代にヨーロッパで生まれました。『アールグレイ』です。言い伝えに依りますと、チャールズ・グレイ、グレイ伯爵は中国に外交上の外遊をしていた時、現地の中国人からベルガモットで香りをつけるという中国の古い処方を手に入れました。帰国後、彼はこの処方をロンドンの高名な茶商のひとつに提供しました。
しかし、事実はまったく異なります。チャールズ・グレイは中国に行ったことはなく、また、彼の個人的な好みから数滴のベルガモット エッセンスをお茶に加えていた時、彼はこのことが、この歴史的にも非常に高名なお茶の生みの親を裏書きすることになろうとはおそらく予想もしていなかったことでしょう。
ミントティーの起源もやはりこの時代にさかのぼります。正確には1860年代です。英国がクリミヤ戦争によってロシアでのお茶の市場を失う事態に直面していた時代です。彼らはモガドール港やタンジール(モロッコ)へ向かい、在庫をさばこうとしました。マブレブ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)では当時ミントやニガヨモギの葉を煎じて飲んでいました。次第にこれらのハーブとお茶をブレンドすることが広がり始め、一般的になりました。
マサラ チャイはインドでは日常的な飲み物として定着しています。古くからのものと思われていますが、意外に新しいものです。19世紀に英国によってお茶の栽培地帯として選ばれたインドは150年後の今日、実にお茶の生産量の80%を国内で消費しています。英国茶(ミルク+シュガー)を忠実に踏襲するとともに、そこに土地のスパイスを加えます。カルダモンはすべてのマサラの基本で、それにペッパー、シナモン、ジンジャー、クローブなどです。
食品香料(アロマ)について
フレーバーティーの発展の決定的な局面は1960年代に訪れました。第二次世界大戦後、農作食品は食品香料の発達と定着技術の発展によって小さな革命を迎えます。お茶は他の香りを吸収するという特質によって、この新しい香料(アロマ)の、その当時までは香りを復元することが困難であった基本的にはフルーツ系の香料の、もっとも適した食材の支柱として注目されました。
さらに、花片やフルーツ片、スパイスなど、お茶はこの時以来、異なったさまざまなアロマによって着香されるようになりました。現在、多数のアロマがありますが、法律上は3種のアロマに大別されます。
ナチュラル アロマ(天然香料)
原料が自然のものだけに限られます。エッセンス オイル、エキス、濃縮。芳香物質、スパイス、柑橘の外皮や花、特に珍しいものはフルーツ、水分が豊富で、このことは技術的にエキスを抽出するのが困難になります。ナチュラル アロマはしばしば多数の異なる香りの成分を含み、それが豊かさになります。
アロマ アイデンティカル《ナチュラル同一》
すなわち自然の状態で存在しているアロマです。しかし、しばしば経済的、技術的な問題から合成アロマとして再生されます。このアロマは分子的観点から厳密に自然界に存在しています。しかし、芳香物質が主成分のナチュラルアロマに限られます。例えばバニラの場合、バニラビーンズの主要な香りの成分を合成するのは簡単ですが、ナチュラル アロマ アイダンティカルほどの豊かさはありません。バニラ本来の香りは数百におよぶ他の香りの成分を含んでいます。
アロマ アーティフィシャル(人工香料)
この香料は合成によって得られますが、自然界にもともと存在していません。自然の香りの成分に似せたアロマで、香りの強さをさらに発展させたものです。もっとも知られているもののひとつにエチル バニラがありますが、ナチュラル バニラに比べ、3倍の香りの強さがあります。
人工香料そのものは悪いものではありませんが、精緻さに欠け、味覚の観点からもあまり興味をひきません。このことがル・パレデテがフレーバーティーにナチュラル アロマとアロマ ナチュラル アイダンティカルのみを使う理由のひとつです。



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